News|Jul.3.17
POE、Hutte、MON LOULOU、ROSEROSE、Luiなど個性的な靴ブランドを展開し、その世界観を凝縮させた直営店CARNETを運営するスタディー。実はその靴も自社工房から生まれている。デザイン、製造、販売までを一貫して行うスタイルは日本の靴業界では異端児的な存在。なぜ、どのようにして、今のスタディーができたのか、代表の柳 智己氏にお話しを伺った。
☆スタディーを始めた経緯はどのようなものだったのでしょう。
スタディーを立ち上げる以前は、青山にあった「マリー・ルー」という靴の会社にいました。その会社はもうありませんが、当時マリー・ルーには現在の「Salon」の酒井伸子さん、「Blaze」の坂口晃二さん、「AKA」の赤嶺賢児さんなども働いていていました。豪華なメンバーでしょ?非常に洗練されていて、靴のトレンドを牽引してるような会社でしたね。その後、シューズデザイン企画をする個人事務所として「スタディー」を立ち上げました。自宅のキッチンからスタートして、原宿のマンションの一室に移りました。それが今から約12年前です。
その頃5、6社と契約していて靴のデザインを提供していました。ところが、僕たちは絶対にいいと思ってデザインしているのに、ちっともヒットしないんです。ファッションとして発信するのがちょっと早かったんだと思います。でも僕たちが作りたい靴はやっぱりこれ。このままだとせっかく生み出したデザインが死んでしまうと思い「だったら自分たちで作って売ろう」とホームメードケーキのように、ほんの少しの数を丁寧に作り始めました。最初は1つのデザインを3〜5足くらい作って、ラフォーレ原宿のセレクトショップに置いてもらいました。しばらくすると、大手セレクトショップでの取り扱いが決まり、それを機に地方のお店など卸し先が一気に増えました。
一方で、ラフォーレ原宿から直営店を出さないかとお誘いがあったのを2回お断りしていたのですが、3回目にようやく決心して「CARNET」をオープンしました。靴のデザインはプロですが、ショップ経営は未知の世界。だから二つ返事でお店を出すことができなかったのです。でも出店を決めてからは、靴作りと同じように、僕たちの世界観を表現する売り場作りに夢中になりました。最初はたった5坪ほどのものすごく狭いお店だったけれど、靴の他に、バッグや古着、食器まで並べていました。小さなお店なのにビックリするくらい売れたんですよ!約一年後には3.5Fにショップを移転しました。その後カフェも併設して、恋人や友達がショッピングしている間に気軽にお茶を飲めるような、理想的な空間にしていきました。
そんな風に時が流れながら、スタディーの靴は僕たちが成長するように少しずつ大人になっていきました。そして遂に巣立ちの時がやってきて、新たな一歩を踏み出しました。ルミネ新宿店との取り組みで作った新しい「CARNET」です。そして現在は、新宿の他に、梅田、横浜、丸の内にもCARNETがあります。もちろんラフォーレ原宿への感謝は忘れることはできません。あの時に培った様々な経験は、今もなおスタディー精神の原点になっています。
このような歴史でスタディーはSPA(製造小売業、自社ブランドを自社の店舗で販売する形態)
になっていきました。
☆ 直営店で販売するブランドは日本では珍しいと思いますが。
アパレル業界でSPAは一般的ですが、いわゆる純粋な靴業界でこのスタイルを取っている会社はほとんどないですよね。自分たちで作って自分たちで売るのはごく自然だし、ビジネスとしてもブランドとしても無理がないはず。でもそうしないんですよね。どうしてそんなことができるの?と同じ業界の方によく聞かれます。「ビジネスとして成り立つ理由があるからできている」と、その当たり前のところにきちんと目を向けていないような気がします。靴業界全体がもっと危機感を持ち、将来のヴィジョンを見据えてどんどんチャレンジしていくべきです。
言うのとやるのは全然違います。実際はとても大変でした。でも5年、10年先を見据えたら、今やらなければいけないことが見えてきます。だからそれをやってきただけ。現在はほぼ90%近くの靴を自社工房で製造しています。自給自足という夢の実現を急いで自社工房を作ったのも、やっぱり同じ理由。不景気や後継者問題で、契約している工場のうち毎年2、3社が潰れていくんですよ。このままじゃいつか日本で良い靴が作れなくなってしまうという危機感から、製造もできる会社にしようと思ったのです。
☆自社工房を持っているブランドもとても少ないと思いますが、どのように工房を運営しているのでしょうか。
今は13人の職人がいます。彼らの平均年齢は30歳、若いでしょう。女性の職人も沢山いますよ。もともとは、契約していたある工場から「後継者がいないので後を継いで欲しい」と頼まれたことが、スタディー工房を持った最初の切っ掛けです。職人と設備を丸ごと引き受けましたが、工場の経営は全くの未経験でしたので取りまとめるのはとても大変でした。中々上手く回らず、もう無理かなと何度も思いましたよ。そんな時、今の工場長が来てくれて、ベテランの職人と若手を上手く引っ張りながら工場を稼働させてくれました。こんな風に色々な人に助けられ、試行錯誤しながらやっと工房ができたという感じです。
スタディー工房の靴はすべて手作りです。レディースではかなり珍しいと思いますよ。つり込みも機械だと1日200足はできるものが、手でつり込みますから一人12足くらい。工房全体で生産できるのも1日40足ほどです。でも手作りの風合いはスタディーの靴には欠かせません。その技術と生産性を自分たちで継承していくことができるようになったのは、とてつもない財産です。
スタディー工房には、いわゆる靴工場の3K※と言われるネガティブな暗いイメージは全くありません。僕たちは靴業界の靴屋じゃない。ファッション業界に籍を置いて靴というアイテムを作っています。だから、オフィスの立地や雰囲気はとても重要なものです。僕がマリー・ルーに入社したのは、会社が青山にあってスタッフも社屋もおしゃれで格好良かったから(笑)。でもそれってとても大事なことだと思わない?
※3K:厳しい、危険、汚い
いつもトレンドを感じながら、ファッションの中心にいることが大切。あまりにも個性的な独自路線に走ってしまったり、時代の空気を感じないデザインではもちろんダメです。それに素敵な靴を作っているのに、売っている人たちが全然おしゃれじゃないとか、ファッションが全く分からない職人が作っていてるのも、ヘンでしょ。
だから社員全員が自然にファッションを感じられるような環境づくりに気を配っています。デザイナーと職人の気持ちがより近くなるために本社と工房を統合しこの建物に移転しました。黒川紀章がデザインしたものです。もともと信用金庫だったのかな?金庫は今木型入れになっています。アーティスティックな空間で、明るく、静か。ものづくりというスローファッションを提供する僕たちにぴったりの場所、スタディータイムが流れる空間です。それにリクルートにも大きな効果がありますよ。だって、誰だって気持ちの良いところで働いてみたいじゃない。
☆これからのスタディーは?
デザイナーの”わがまま”は人を幸せにします。そのわがままを形にできるのが職人です。考えるのも作るのも、みんながスタディーの一員。この精神的、物理的な距離感が僕たちの強味です。
古い業界のスタイルに縛られたりせず、自分たちにとって”一番自然な形”でものづくりをして行きたい。それが何よりお客様に喜んでもらえる靴になるから。たまに僕が一番わがままだったりしますけど(笑)
スタディー有限会社
Official web site:http://www.study-carnet.com
Web shop:http://www.rakuten.ne.jp/gold/study/
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