News|Jul.3.17
-櫻井さんが靴の世界に進んだのは、どんなことがきっかけだったのですか?
とにかく子どもの頃から靴が好きだったのです。親に買ってもらうものの中でも靴だけは別格だった。本格的に仕事として考え始めたのは大学3年生の時。卒業後の進路について真剣に悩み、ずっと続けていくなら好きなことをしようと決めました。専攻は会計だったので、周りの友達はほとんど一般企業に就職しましたけどね(笑)。それで大学を出たらまず靴作りを勉強しようと思って学校を検索したところ、「エスペランサ靴学院」が一発目で出てきた。すぐ見学に行って、直感的に「ここ、いい!」と思ったので、その場で入学を決意しました。実際に入学してみて、あの直感は正しかったと思いましたね。2年間で、1足の靴をほぼひとりで作れるようになりました。ゆくゆくは靴を作る仕事をやりたいと思っていましたが、卒業後は在学中からアルバイトしていた靴修理の会社に入社しました。製造工程によって分担作業になる工場でひとつの作業をずっとやるより、修理の方がいろいろできると思ったからです。
-櫻井さんの靴の中では、特にこの木になる「きのみ」がユニークで印象的ですが、これはどんな経緯で生まれたのですか?
それは、かなり深い話になりますが(笑)。僕が最終的にやりたい靴は、こういう靴なのです。これ、実は卒業制作の作品で、「存在と時間」というテーマで作りました。例えば、砂時計を横にして置くと時間が止まっている、そんなイメージで時間が止められる靴を作りたいと思いました。「時間」の概念についていろいろな本を読み考えている中で、ふと、「驚く瞬間というのはどうだろう」と思い立った。靴を見る、触れる、そして、驚く。そこで一瞬、時間が止まる。そんな靴を作りたいな、と思ったのです。そこからパッと木の実が閃いた。左右の靴を合わせるイメージですね。くっつく仕組みには磁石を使いました。それから最近になって1作目の時よりも格段に強力な磁石をみつけたので、「きのみ」の進化版として、左右の靴がくっつくだけでなくそのまま木になる装備も搭載しました。木から実をとって、割って、遊んで、履いてみる。そういうストーリーです。カタチは奇抜ですが、もちろん靴として普通に履けます。アッパー部分はオイルレザーを使って柔らかめに仕上げました。歩くとちょっとバランスがとりにくいかもしれませんが、履いた感じは意外に普通の靴でしょ?底に革が貼ってあるので減ってきたら交換もできます。これまで「いいね!」と言ってくれた人はたくさんいらっしゃいましたけど、残念ながら買ってくれた人はまだいません(笑)。
-櫻井さんが靴作りでこだわっていることについて、具体的にお聞かせください。
こだわりは・・・まず、素材は絶対に自分の中でいいと思うものを使うこと。具体的には作る靴に合った厚さやなめし方、そして時間とともに変化する風合いを持った革を選ぶようにしています。今後は毛皮でところどころ剥げている革とかトナカイの革とか、少し変わった素材を使ってみたいですね。それから、修理しやすいシンプルなつくりにすること、壊れにくい靴を作ることも大切なポイントです。後はまあ、キレイに作りすぎない。あんまりカチカチにできているものが自分で好きじゃないこともあるし、そうやって完璧を求めすぎると最後の仕上げに多くの時間がかかってしまう。僕はそこにあまり魅力を感じないのです。現在はレディースメインで9つの型がありますが、どれも無駄をなくしたシンプルなつくりにしていて、その先は履く人が自分で育てていってくれたらいいと考えています。
-entoanの靴は現在どういうルートで展開しているのですか?
基本的にはオーダー制です。あと、この夏はroomsに出展しました。セレクトショップやアパレルとのコラボの話も進んでいます。それから、この「葉っぱの靴」は少し前から子ども服のお店に置いてもらっています。実はentoanではこれが唯一、産休前の杉本と僕とで合作した靴なのです。最初、僕が普通にベビーシューズを作ったら彼女が葉っぱを付けてきたので、じゃあ植木鉢を作ろうと盛り上がり、こういうカタチになりました。子どもは成長が早いから、靴もすぐに履けなくなってしまう。でもこうして植木鉢に入れて飾っておけば、「小さい時にこれを履いていたんだよ」って将来、見せてやれるし、「昔はもっとこんな色してたよね」なんて、「時間」を感じてもらえるかなと思います。出産祝いに買っていく人が多いようです。
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【インタビュー】「ひと」と「靴」の関係を追及するentoan櫻井義浩さんの想い
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