News|Jul.3.17
♥足裏のアーチってなに?
土を踏まないからつちふまず。
本来地面に接地しない場所なのでこうした通称で呼ばれているアーチのことです。つちふまずがない足のことを偏平足(扁平足/へんぺいそく)と言いますね。実は、つちふまずは正式には内アーチといい、この他に外アーチと横アーチ、合計で3本のアーチが存在しています。
それぞれ、カカト、母趾球(ぼしきゅう)、子趾球(こしきゅう)という3つの接地点を結んだラインです。ちょうど足の裏に大きな三角形が描かれる印象です。これらの3本のアーチ、そして3つの接地点こそが、人間の体にとってとても大切な役割を果たしています。
ここで質問です。3本足の三脚と4本足のイス、どちらがより安定すると思いますか?
正解は三脚です。イスは確かに安定しますが、「地面が平たんなら」という条件付きになります。もっと言うなら、平らな床でもガタガタしているイスもありますよね?その点、三脚は地面の凹凸に合わせて、自由自在にバランスを取ることができます。自然界に直線はなく、人間の歴史上、今のように道路が整備されたのも近年のこと。3つの接地点で体重を支える構造は、整っていない地面を歩いてきた人間にとって、体の土台を安定させるためにベストな仕組ということになります。
また、足裏は体の表面積の1%程度しかありません。その面積だけで体重全てを支えるのは、物理的に無理がありますよね。そこで活躍するのがこの3本のアーチです。足裏の血管や筋肉へのダイレクトな衝撃を防ぐクッションになったり、体重を逃がしながら分散させるポンプになったり、体を前に運ぶための前進力になったり、人間が歩行する上で欠かせない機能なんですね。これはとてもとても重要で、よく出来た仕組です。
実はこの足裏のアーチ、生まれたての赤ちゃんにはありません。つちふまずがある赤ちゃんはいません(笑)。それは、赤ちゃんが歩く必要がないから。ヨチヨチ歩きが始まった頃から足裏が鍛えられ、だいたい10歳ごろまでにアーチが形成されると言われています。それほどこの足裏のアーチは、歩きと関係が深いものなのです。
ところが、この足裏の秘密を知っている人は本当に少ないのが現状です。なぜなら、皆さん、顔は毎日鏡で見ても、足裏は見ないという方がほとんどでしょう。これは仕方がないことです。私たちが意識せずとも、縁の下の力持ちとして日々頑張ってくれているのが足裏なんですね。
♥アーチが崩れるとどうなる?
それでは、この3本のアーチが崩れたらどうなるのでしょうか?足裏のアーチがなくなってしまったら・・・
ここではわかりやすく足裏のクッション機能がなくなるという出発点から書いてみます。
A1→歩くたびに足裏の血管や筋肉に衝撃がダイレクトに伝わる
A2→足が疲れやすくなる
A3→ちょっとした距離でもタクシーなどを使うようになって、歩かなくなる
A4→歩かないから、足の筋力が低下する
A5→ますますアーチが落ちていく
まず、この悪循環が始まります。
さらに、見た目に症状が現れて、自分でも気になりはじめます。
A6→アーチが落ちると、足が横に広がったように見える
A7→どんな靴を履いても足にフィットしないと感じる
アーチが崩れるということは、足自体が平たく潰れていくということです。
靴づくりの命は木型ですが、想定しているのは健康な足の形と容積です。お気づきでしょうか? 自分はすでに健康な足ではなくなっているのです。ここで「なんか靴が合わなくなってきた」というギャップを感じる方が多く出始めるのです。また、平行して物理的に足トラブルは違う方向へも進行していきます。
B1→歩くたびに足裏の血管や筋肉に衝撃がダイレクトに伝わる
B2→足自身は自分を守るために角質を固くしてガードする
B3→角質が発展して、タコや魚の目になる
次にまたA3にループしていくわけです。
そして、これは足と靴の問題だけにとどまりません。アーチの崩れは、歩き方まで変えてしまうのです。
C1→歩くたびに足裏の血管や筋肉に衝撃がダイレクトに伝わる
C2→衝撃がダイレクトに伝わらない歩き方に変化する
C3→本来の歩きをしないため、足の筋力が低下する
そしてA5にループしていきます。
本来足裏が持つはずの機能が1つかけるだけでもこの状態です。
他の機能も失われたら・・・ちょっと想像するだけでもこわくなりますよね。
♥こんな症状があったら要注意
もちろん、
「足が幅広になってきた」
「歩くと疲れやすくなってきた」
「タコや魚の目ができてきた」
「外反母趾が進んできた」
などの足トラブルが発生したら、ほぼ間違いなく、足裏アーチが崩れています。
足トラブル発生の諸悪の根源は足裏アーチの崩れである、と言っても過言ではないでしょう。
また、一方で一見、足裏とは無関係な症状として現れることも多々あります。
「最近、膝が痛い」
「左の腰だけ痛い」
「よくつまづくようになった」
人間の体は順応性がとても高く、自分のちょっとした変化にも対応しようとします。ですから、弱くなった部分をフォローしようと、全身が絶妙なバランスをとりながら調整をするようになります。これは無意識下で起こることなので、自分自身は気づかない体の作用です。
さらに、このバランス調整の方法も人それぞれ。体のクセ、動き方のクセによって、普段からよく動かしている、よく使えているパーツは違います。弱くなった足裏をカバーしようとして、他のパーツががんばりすぎてしまう結果、足とは全く関係のない場所にトラブルが発生していくわけです。
また、そもそも足裏アーチの崩れ=体の土台の崩れですから、体のどこに、どんな症状が発生してもなんら不思議ではありません。
さて次回は、アーチが崩れる原因と改善対策についてご紹介します。どうぞお見逃しなく!
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♥筆者プロフィール
小野崎記子
有限会社アクスト 代表取締役専務
フットカウンセリングサロン|ANYO et KUKU アンヨエクック 主宰
「あなたの足から幸せを運びます。」をコンセプトに、東京浅草の靴メーカーを経営。靴職人の手仕事を施した靴、大人の女性の審美眼に叶う靴、機能的で足に優しい靴にこだわる。
2005年より、「女性にとって本当によい靴」の研究開発を行う傍ら、足・靴・歩き方を網羅した複合的フットケアメソッドを伝える活動をスタート。近年「キレイな脚をつくるセミナー(通称:美脚セミナー)」を開催、好評を博す。2010年、「フットカウンセリングサロン|アンヨエクック」をオープン。密接にリンクした足・靴・歩き方の状態から体のクセを分析し、オンリーワンのフットケアメニューを組み上げ、提供している。丁寧にわかりやすく教えてくれるサロンとして口コミが広がり、予約の取りにくいサロンとなっている。
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