映画と靴｢ミッドナイト･イン･パリ｣イマドキとクラシックなふたりの美女が着こなすモードスタイル

魅力的なシネマヒロインをピックアップして、そのファッションから読み解くスタイルをShoeCreamが提案するヒロインShoes。今回の映画は、かのウディアレン監督が初めて全編パリを舞台に撮り上げたロマンティック･コメディ、｢ミッドナイト･イン･パリ｣。主人公ギル(オーウェンウィルソン)が2010年と1920年代のパリを行き来するというエスプリに富んだ場面設定がお洒落で、ヒロインにはセクシーな｢イマドキ｣美人のイネズ(レイチェルマクアダムス)と、1920年代＝黄金時代のパリに生きる芸術家たちのマドンナ、アドリアナ(マリオンコティヤール)の、ふたりの美女が競演している。彼女たちはストーリー上では対照的な存在として描かれているが、実はどちらもトレンドに敏感で、男性に媚びることなく自分が求めるものをはっきり主張できる女性という点では同タイプ。昼と夜でタイムスイッチが切り替わるごとに時代を象徴するふたりのファッションが交互に見られる展開も楽しく、美しいパリの街並みと併せてスクリーンに魅せられっぱなしの1時間34分だった。

ヒロインShoes-映画｢ミッドナイト･イン･パリ｣イマドキとクラシックなふたりの美女が着こなすモードスタイル

ギルはハリウッドの売れっ子脚本家。ひょんなことから婚約者イネズと一緒にパリ旅行に行くことになり、胸を躍らせている。彼にとってパリはいつか移住したいと思うほど愛してやまない街、しかもキュートでセクシーなイネズとのプレハネムーン！最高にハッピーな旅を期待するギルだったが、イネズの男友達ポールの出現で彼女との関係はギクシャクし始め、ロマンティックなはずのパリの夜もお互い別行動になってしまう。ある晩、ギルがひとり寂しくパリの街をぶらぶらとさまよっていると、0時を告げる鐘の音と同時に今どき見かけないクラシックな型のプジョーが通りがかり、彼の前で止まった。乗合タクシー？ほろ酔い気分で誘われるままに乗り込むと、着いた先は古めかしい社交クラブのパーティ。たまたま知り合った男女は自分たちをスコット＆ゼルダフィッツジェラルドと名乗り、ピアノを演奏しているのはコールポーター、パーティ主催者はジャンコクトーだと聞かされる。そこは紛れもなく1920年代のパリであった。混乱しつつも夢のような世界に酔いしれるギル。翌日も深夜の鐘とともに現れたプジョーに乗り、アーネストヘミングウェイとともにガートルードスタイン女史のサロンへ。そこでピカソの愛人アドリアナに出会った彼は、その美貌に一瞬で心を奪われてしまう。一方、イネズは夜な夜な外出するギルの不可解な言動にすっかり呆れ顔。ふたりの溝は深まるばかりだった。果たして、昼と夜のパリを舞台に交錯するこのふたつの恋の結末は──。

昼間のパリを彩る花々のように、ナチュラルな美しさが魅力のイネズ。彼女のファッションの特徴は、着回しのきくプレーンアイテムに旬な小物づかいでスパイスをきかせた、洗練された印象のカジュアルスタイル。たとえばヴェルサイユ宮殿の庭をギルと散策するシーンでは、白いシャツワンピースに黒のベルトというシンプルなコーディネートを軸に、シャネルのショルダーバッグとジュートのウエッジソールサンダルを合わせてトレンド感を演出。ブロンドの髪がシャツの白をクリアに際立たせ、ラフな印象を全く感じさせない見事な着こなし術を披露していた。

▼このシーンのスタイルにはこんなシューズがおすすめ

バックストラップサンダル CALVIN KLEIN COLLECTION (カルヴァンクラインコレクション) ¥73,600

甲部分とかかとの黒いバンデージラインがまるで1本のリボンのようにエレガントな曲線を描く。バックストラップは伸縮性のある素材で足に美しくフィット

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ショッピングを楽しんでいるところに突然の雨。ちょっぴり不機嫌なイネズをよそに、｢雨のパリは最高さ｣とテンションが上がるギル。このシーンのイネズはデニムにシャネル襟のジャケットを合わせた｢きれいめ｣カジュアル。インナーのプルオーバーシャツとジャケット丈のバランスが絶妙で、ゴールドとベージュを取り込んだ色づかいも上品。バッグは上の場面と同じシャネルのショルダー、足元にはデニムと相性がいいグラディエータータイプのサンダルを合わせ、セレブなオフスタイルを表現。

▼このシーンのスタイルにはこんなシューズがおすすめ

サンダル CESARE PACIOTTI(チェザレパチョッティ)　¥83,500

ラグジュアリーシューズの代名詞、パチョッティのグラディエーターサンダル。ワイルドなフロント部分に編み込まれた細めのストラップが繊細に甲を包む印象的なデザイン

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初対面のギルをたちまち虜にしてしまったこの場面のアドリアナは全身、黒。個性的なヘッドドレスを引き立てるヴィンテージドレスは胸の位置で切り替えたAラインだが、このウエストをマークしないシルエットこそ1920年代、ココシャネルの登場とともにコルセットから解放された女性たちを象徴するモードスタイル。また彼女が愛用している煙管(キセル)のようなシガレットホルダーはまだ両切りたばこが主流だったこの時代のモダンな喫煙具。さらに彼女が足を組んで読んでいるのは1918年にイギリスで初めて登場したとされるタブロイドサイズの新聞紙で、時代の波に敏感なアドリアナのキャラクターを印象づけるひとコマになっている。

▼このシーンのスタイルにはこんなシューズがおすすめ

オープントゥバックストラップシューズ DANIELE ANCARANI(ダニエルアンカラーニ)　¥25,500

クラシックな表情の7cmヒールが大人の女性の足元を上品に表現。パンプスを切り取ったような無駄のないフォルムはアンカラーニの真骨頂

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セーヌ川沿いをギルと散歩するシーンのアドリアナはセーラーカラーのワンピースが清楚な印象。これもやはりAラインで、ローウエストで切り替えたスカートの裾が歩くたびにふわふわと揺れて可愛い。このスタイルの足元は淡いトーンのプレーンなパンプス。その明るい色味が街灯に照らされたパリの石畳に可憐な光を落としていた。ギルの素朴な優しさに惹かれ始めたアドリアナの乙女心が垣間見えるスタイル。

▼このシーンのスタイルにはこんなシューズがおすすめ

ベルト付バレエシューズ MALOLES(マロレス)　¥26,400

甲ベルトはAラインとの相性抜群。甘すぎないベージュピンクのソフトレザーはエナメル仕上げで、その優しい色味と光沢が洗練された足元を演出してくれる

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時代に縛られず自由に人生を謳歌するアドリアナ。終盤のクライマックスシーンで着ていたのは、そんな彼女の内面の魅力が匂い立つようなゴールドのドレス。縦横に施された繊細なビーズがボディを流れるように包んで、Aラインのシルエットをエレガントに強調。その足元を飾るのはフェミニンなアンクルストラップのパンプスで、膝頭が見えるスカート丈とのバランスもパーフェクト。全編を通して、アドリアナのミステリアスで気高い美しさが最も際立つスタイルだった。

▼このシーンのスタイルにはこんなシューズがおすすめ

ミュール GIAMBATTISTA VALLI(ジャンバティスタヴァリ)　¥73,000

サテンとゴールドの組み合わせがゴージャスなミュール。ほどよくシェイプされた8.5ヒールがミニマルなフォルムをバランスよく支えてくれる

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♥あわせて読みたい！

｢ミッドナイト･イン･パリ｣
www.midnightinparis.jp
5月26日(土)、新宿ピカデリー＆丸の内ピカデリーほか全国ロードショー！
© 2011 MEDIAPRODUCCION, SLU, VERSATILCINEMA, SL&GRAVIER PRODUCTIONS, INK.
配給：ロングライド

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