映画と靴『グランド･ブダペスト･ホテル』ウェス･アンダーソン監督×衣装デザイナーミレーナ･カノネロがファッションで仕掛ける極上のファンタジー

靴とファッションをキーワードに、ShoeCreamが厳選した映画を紹介する「映画と靴」。今回は本年度ベルリン国際映画祭で銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞したウェス・アンダーソン監督最新作『グランド･ブダペスト･ホテル』をフィーチャー。

本作はヨーロッパ最高峰のホテルを舞台に繰り広げられる謎の連続殺人事件を、ウェス・アンダーソン監督ならではのユーモアで描いた極上のミステリー・エンタテインメント。現代から60年代、そして大戦前夜の30年代へとテンポよくタイムスリップしていく物語はワクワク･ドキドキの連続で、絵画のように色彩ゆたかな映像美も大きな見どころ。そしてファッション面では過去3度のアカデミー賞®に輝くミレーナ･カノネロが手掛けたゴージャスな衣装デザインが目を惹く。複雑に交錯する時代背景の中で次々とスクリーンに現れる強烈な個性の登場人物たち、そのひとりひとりをコスチュームで効果的に印象づけるキャラクターづくりは絶妙としか言いようがない。主人公･グスタヴの燕尾服や相棒のベルボーイ･ゼロの制服、伯爵夫人の絢爛豪華なドレスに殺し屋ジョプリングの黒革のコート(ちなみにこれはプラダからの提供だそう)などなど、随所に遊び心をちりばめたファッションにも注目しながら鑑賞すれば、より楽しめること請け合い。

【ストーリー】

時は大戦前夜の1932年。ヨーロッパ最高峰のグランド・ブダペスト・ホテルで伝説のコンシェルジュと称されたムッシュ･グスタヴ･Hは、ひょんなことから上客であった伯爵夫人の相続をめぐる殺人事件の容疑者とされてしまう。ヨーロッパ大陸を逃飛行しながら、愛弟子であるベルボーイのゼロと共に真犯人探しに奔走するグスタヴ。果たして自らの潔白を証明し、命より大切なホテルの威信を守ることができるのか──？

常にきちんとセットした髪とお気に入りのフレグランスがトレードマークのムッシュ･グスタヴ。コンシェルジュのユニフォームは華やかなパープルの燕尾服で、襟の赤いパイピングがアクセント。イカ胸ウィングカラーシャツ＋オニキスのスタッドボタンはお洒落を知り尽くしたムッシュ流の着こなし。

▼ムッシュ･グスタヴのコンシェルジュスタイルにはこんな靴がおすすめ

ミリタリーグリーンとブラックのツートーンが極上の質感を際立たせる1足。ミニマルで完璧なフォルムは、「かたち」に情熱を注ぐセルジオロッシの真骨頂。

レースアップオックスフォード／SERGIO ROSSI (セルジオロッシ) ¥86,112(税抜)

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こちらは60年代のシーン。本編の語り手である作家の青年時代を演じたジュード･ロウは、パイプ片手にいかにも仕立てのよさそうなツイードのサファリジャケットでスクリーンに登場。ヒゲの色と同じシナモンブラウンのシャツとシューズに、カメオ色のニットタイが上品なさし色。

▼ジュード･ロゥのサファリ･ジャケットにはこんな靴がおすすめ

ツイードのジャケットに合わせて履きたいニット地のスリッポンはMISSONIからのセレクト。履き口に施したキャメル色のパイピングが足元をシックにまとめてくれる。

スリッポン／MISSONI (ミッソーニ) ¥138,334(税抜)

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30年代に戻って場面は殺害された伯爵夫人の屋敷。ハウスメイド役で登場したレア･セドゥは頭に着けたホワイトブリムがとってもキュート。弔問に訪れたグスタヴらを玄関口まで見送りに出るこのシーンのシューズは、太めのスクエアヒールに甲ベルト付き。雪道でもリアルに安定感ありそう。
映画と靴『グランド･ブダペスト･ホテル』ウェス･アンダーソン監督×衣装デザイナーミレーナ･カノネロがファッションで仕掛ける極上のファンタジー

▼レア･セドゥのメイドスタイルにはこんな靴がおすすめ

VIKTOR&ROLF(ヴィクターアンドロルフ)

トラディショナルなコインローファーをVIKTOR & ROLF独自の意匠でブラッシュアップ。ブラック×ホワイトのバイカラーはメイドスタイルにぴったり。スクエアなアウトソールも印象的。

ローファーパンプス／VIKTOR&ROLF(ヴィクターアンドロルフ) ¥92,000(税抜)

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ゼロの婚約者、アガサはベーカリー「メンドル」の若きパティシエ。ゼロと同じく貧しい労働者階級の彼女は、粉だらけの厨房から凍った雪道、さらにはウエディングドレスの足元にも愛用のメンズライクなレースアップシューズで登場。なおこちらの写真はゼロとアガサがデートに出かけるシーンのメイキングショットで、左に写っている完全防寒スタイルの男性がウェス・アンダーソン監督。

▼ヒロイン･アガサのスタイルにはこんな靴がおすすめ

3.1 PHILLIP LIM(3.1 フィリップリム)