靴とファッションをキーワードに、ShoeCreamが厳選した映画を紹介する「映画と靴」。今回は20代の若者たちの恋と痛みを、軽やかな音楽に乗せて描いた、ポップ・ミュージカル映画『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』をフィーチャー。

ヌーベルヴァーグを思わせるセンスの良い映像の数々、70年代風の衣装、愛おしくて踊りだしたくなるミュージカルシーンが、とってもキュートな映画。脚本・監督を務めたのはスコットランドを拠点に世界的な人気を誇るバンド、「ベル・アンド・セバスチャン」のフロントマン、スチュアート・マードック。
独特の世界観と、こだわりの16mm撮影で撮られた美しく繊細な映像が見事に融合し、スチュアートの感性と才能が100％表現された唯一無二の映画が完成。映画のいたる所にザ・スミスやザ・パステルズなど音楽の小ネタも散りばめられ音楽ファンの心をくすぐる仕上がりになっている。

【STORY】
舞台はスコットランドのグラスゴーのとある街。うつ病と拒食症のため実家から離れた病院に入院中の主人公イヴは、一人ピアノに向かい曲を書いていた。同じ街に暮らすジェームズとキャシーもまた、自らの岐路でさまよいながら模索する同世代の若者。
ある日イヴは、病院を抜け出し向かったライブハウスで、アコースティック・ギターを抱えたジェームズに出会い、さらに友人のキャシーを紹介された。ジェームズの案内で街をめぐりながら、イヴが作る音楽を聴いているうちに、3人で音楽を一緒に作り始めることに。その夏、3人の友情と恋が、音楽にのって始まった－。

映画『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』が生まれたのは、監督・脚本のスチュアートの頭の中。さかのぼること12年前、ランニングの途中で頭にある曲が浮かんだが、それは彼の率いるバンド「ベル・アンド・セバスチャン」でものではなく、何か新しく面白いもの。その後イメージはさらにふくらみ、イヴ、ジェームズ、キャシーの３人が喋り始め、ミュージカル映画製作の案がひらめき、脚本を書き始めることに。

『シックス・センス』(1999)と『ミュンヘン』(2005)で、2度アカデミー賞にノミネートにされた映画プロデューサーのバリー・メンデルが偶然、スチュアートの歌手公募の告知を目に留め、コンタクトを取ったことから二人が出会った。音楽やショートムービーと違い、長く持続的な物語を構築する挑戦が初めてだったスチュアートにとって、メンデルは心強いプロデューサー。スチュアートの作る音楽に共通する純粋さとオリジナリティの輝きを感じ取ったメンデルは、約１０年かけて同映画の製作に協力した。

スチュアートは、かつて20代前半から慢性疲労症候群にかかり、大学から実家に戻って7年の闘病生活を送った後、グラスゴーのストウ・カレッジの音楽制作コースで“ベル・アンド・セバスチャン”を結成した。その経歴は、孤独な病院生活から音楽を通じて再び外の世界に飛び出してゆく主人公イヴに重なり、映画からは“つまずいても大丈夫。また勇気を出して一歩踏み出してゆこう”という自らの経験に基づく前向きなメッセージが感じられる。

難しい役所、主人公イヴを演じたのはエミリー・ブラウニング。ポップなミュージカルシーンが多い中、うつ病と拒食症を患っているイヴは時折、触れると壊れそうなほどの悲しげな表情を見せる。将来への不安や目標を見つけられないでいたイヴだが、音楽は彼女に生きる目的を与え、目の前に続く道となっていく。
自分を客観視して見られるようになった時、今まで抱いていた大人への嫌悪感とは逆に、未熟な自分には大人の意見が必要であることを知った。そして新しい自分に生まれ変わり、ステップアップすることを決意する。

ばっさり切ったぱっつんボブのヘアスタイルが、ヴィンテージ感のある洋服をよりシックに仕上げる。帽子やバンダナなどの小物でフェミニンな印象を作り、自分のスタイルを確立しているイヴ。ポイントになるマットな赤いリップが、少女から大人の女性へと成長していく表情を上手く表現している。

♥イヴのスタイルにはこんな靴がおすすめ

大きめの丸いボタンと丸襟が特徴のドレスは７０年代の象徴的なデザイン。白のアウターで涼しげな印象のコーディネートには、ドレスと同じネイビーの「TABITHA SIMMONS」のサンダルがぴったり。ウッドのミッドヒールが、よりレトロな印象に仕上げてくれる。色味の少ないスタイリングだけに、カラフルな花柄のデザインがポイントになり、少女のような遊び心をプラス。

TABITHA SIMMONS
税込み価格：105,500円
（お問い合わせ先：shoescribe.com）
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ギター担当のジェームズは、密かにイヴに恋する理屈屋の少年。自分の理想とする音楽を一緒に追求する仲間に出会うことができず、漠然とした日々を過ごしていた。社会のあらゆる責任から逃れ、映画や音楽、本といった自分だけの安全な世界に閉じこもっていたが、イヴに出会い、楽しいけれど切ない最高の夏を過ごすことに。
強い個性が求められたジェームズ役には、バンド「イヤーズ＆イヤーズ」のリードボーカル、オリー・アレクサンデルを抜擢。『ブライト・スター～いちばん美しい恋の詩(うた)～』(2009)で映画デビューし、『エンター・ザ・ボイド』(2009)、『ウィークエンドはパリで』(2013)と着実に俳優としてのキャリアを重ねる一方で、2015年3月にはシングル曲『King』がＵＫチャート1位に輝き、ミュージシャンとしてもスターダムを駆け上っている。

♥ジェームズのスタイルにはこんな靴がおすすめ

バンドマンとは思えないような、優等生風スタイルが主流のジェームズ。シャツとニットの定番キレイめスタイルは白スニーカーでカジュアルダウンさせて。男女兼用できそうなETOILE ISABEL MARANTの新作スニーカーは、まだまだ続きそうな白スニーカーブームに乗って、マストで持っておきたいアイテム。

ETOILE ISABEL MARANT
税込み価格：56,500円
（お問い合わせ先：shoescribe.com）
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ジェームズの友人キャシーは、天真爛漫な妹的存在。書いたり、演じたり、歌ったりしたいと思いながら、何から始めれば良いのか分からなかった。ジェームズとイヴとバンドを組むことになり、歌詞を書く楽しみや歌う喜びを知り、さらに音楽の魅力にはまっていく。
年下のキャシーを演じたのは大ヒットＴＶシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」のハンナ・マリー。 当初からスチュアートは、キャシー役として、イギリスのテレビドラマ出演ですでに女優として知られている彼女をイメージしていた。 彼女のエージェントは主人公イヴ役を希望したが、オーディションの中盤からハンナはキャシー役を希望し、数ヶ月にわたる説得の後、見事役を手にした。

♥キャシーのスタイルにはこんな靴がおすすめ

制服を気崩したスクールガールスタイルのキャシーは、定番のオックスフォードシューズよりもバレエシューズでお嬢様っぽさを演出。スパンコールを全面に貼付けたデザインは煌びやかながらも、SALVATORRE FERRAGAMOのエレガントなデザインと融合して下品さとは無縁。

SALVATORE FERRAGAMO
税込み価格：99,000円
（お問い合わせ先：shoescribe.com）
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